香りで巡る、室生。の現在地|室生アートハウスの継承から始まった回遊の実験

Jun 03, 2026

香りで巡る、室生。の現在地

2026年6月18日から、

「香りで巡る、室生。」
室生アートカフェラリー × 宇陀ジンギャラリー

を開催します。

現在は、Googleマップの整備、参加店舗との調整、ポスターやフライヤーの配布、宇陀ジンギャラリーの展示準備などを進めています。

開催まで残りわずかとなりました。

Googleマップの表示回数は1,700回を超えました。

Instagramも少しずつ反応が増えています。

フライヤーは5,000枚を制作し、そのうち約4,000枚を室生を中心に宇陀市内、奈良県内、大阪方面へ配布しました。

DMも送り続けています。

まだ始まってもいない企画ですが、少しずつ動き始めている感覚があります。

そんな今だからこそ、一度この企画がどのように生まれたのかを書いておこうと思います。



振り返ってみると、この企画は最初から室生アートカフェラリーをやろうとして始まったわけではありませんでした。

出発点は、室生アートハウスでした。

室生アートハウスは、かつて写真ギャラリーカフェとして地域に親しまれていた場所です。

しかし、閉館後は10年以上活用されることなく、静かに時間が止まっていました。

自分が宇陀へ通うようになった頃から、この建物はずっと気になる存在でした。

その後、ご縁が重なり、オーナーご家族と出会いました。

「親父と話しているみたいやな」

そう言っていただいたこともあります。

その言葉は今でも印象に残っています。

だから今回、自分にとって室生アートハウスを再び開くということは、単なる空き家活用ではありません。

これから室生で宇陀蒸留所を作ろうとしている人間としての、地域への最初の挨拶でもあります。

そして同時に、長年地域に親しまれてきた写真ギャラリーカフェの記憶を引き継ぎながら、この場所を未来へつないでいく試みでもあります。

蒸留所を作るから地域に関わるのではなく、

地域に関わるから蒸留所を作る。

自分にとっては、その順番の方が自然でした。

 



当初は、この場所で宇陀ジンギャラリーを開催しようと考えていました。

関西ジンラリー。

スパイスとジン、宇陀す。
宇陀ジンナイト。

そのほか、これまでに実施してきた、
スパイス料理とジンのペアリング企画

宇陀スパイスジン。

宇陀の植物。

宇陀の風景。

そして宇陀蒸留所。

これまで積み重ねてきた活動を、一度展示という形でまとめてみたいと思ったのです。

しかし準備を進める中で、ひとつの考えが浮かびました。

せっかく室生という土地で開催するのであれば、自分たちの活動だけではなく、この土地そのものの魅力も伝えられないだろうか。



その時に思い出したのが、関西ジンラリーでした。

関西ジンラリーは、クラフトジンを入口にしながらも、本質的にはお酒のイベントではありません。

人が巡るための仕組みです。

店を巡る。

人と出会う。

会話が生まれる。

そして街の見え方が変わる。

自分が関西ジンラリーを通して作ろうとしてきたのは、イベントではなく、そうした「回遊の構造」でした。

だったら、その考え方を室生という土地そのものに応用できるのではないか。

そう考えました。

室生寺。

龍穴神社。

龍鎮神社。

龍王ヶ淵。

室生山上公園芸術の森。

カフェ。

ギャラリー。

宿。

室生には魅力的な場所が点在しています。

けれど、その魅力は一つの場所だけでは伝わりません。

移動すること。

歩くこと。

立ち寄ること。

人と話すこと。

森の匂いを感じること。

谷の風を感じること。

そうした体験の積み重ねの中で、初めて室生という土地が見えてくるのだと思います。

関西ジンラリーで培ってきた回遊の構造を、室生という土地に応用する。

そこから生まれたのが、室生アートカフェラリーでした。



もともと企画名は、そのまま「室生アートカフェラリー」でした。

しかし準備を進める中で、室生寺の方ともやり取りを重ね、6月の霧に浮かぶ国宝・五重塔をキービジュアルとして使わせていただくことになりました。

その写真を見た時に感じたのは、室生という土地の魅力は単なる観光地の魅力ではないということでした。

室生には山があります。

谷があります。

水があります。

霧があります。

龍穴神社や龍鎮神社に残る、水や龍への信仰があります。

室生寺には祈りの時間が流れています。

龍王ヶ淵には静かな水面があります。

山上公園へ向かう道には森の湿度があります。

目に見える景色だけではなく、

湿った空気。

木々の匂い。

雨上がりの土。

谷を流れる水の気配。

そうした感覚まで含めて、室生という土地なのだと思いました。

だから、ただ場所を巡るのではなく、

土地の気配を感じながら巡る。

その感覚を言葉にしたのが、

「香りで巡る、室生。」

でした。

香りという言葉によって、

森や水の気配。

龍神信仰の残る風景。

宇陀ジンギャラリーで展示する植物やボタニカル。

そして、これから作ろうとしている宇陀蒸留所。

それらがようやく一本の線としてつながりました。



ここから先は、ひたすら地道な準備の連続でした。

参加店舗との調整。

個別DM。

Googleマップの整備。

スポットごとの説明文作成。

写真選定。

宇陀ジンギャラリーに参加するカメラマンとのやり取り。

室生アートハウスの清掃。

オーナーご家族との調整。

行政との相談。

ポスター掲示。

フライヤー配布。

展示構成の検討。

Googleマップも最初は単なるスポット一覧でした。

しかし少しずつ説明文を書き足し、写真を追加し、室生を巡るための入口として整備してきました。

派手な話ではありません。

むしろ毎日少しずつ積み上げる作業ばかりです。



最近はSNSにも少しずつ変化が出てきました。

興味深いことに、反応しているのは室生の人だけではありません。

奈良。

大阪。

京都。

愛知。

三重。

室生の外に住む人たちが、「室生」という言葉に反応し始めています。

写真が好きな人。

カフェが好きな人。

自然が好きな人。

アートが好きな人。

静かな旅が好きな人。

そうした人たちが少しずつ集まり始めています。

もしかすると今まで室生は、宇陀市の一部として語られることが多かったのかもしれません。

けれど外から見ると、室生はそれ自体がひとつの目的地として見えている。

その解像度を少し上げること。

回遊という形で土地を再編集すること。

それが今、自分たちがやろうとしていることなのだと思います。



ここまで読んで、

「なんで急に室生アートカフェラリーなんや?」

と思われる方もいるかもしれません。

関西ジンラリーやShoGin.jpを通して自分を知ってくださっている方からすると、

「また面倒くさいことを始めたな」

と思われるかもしれません。

実際、自分でもそう思います。

蒸留所を作る。

ジンを作る。

それだけなら、もっと近道はあります。

商品開発を進める。

設備を整える。

販売先を開拓する。

そういうやり方もあると思います。

でも、自分は今回そうしませんでした。

なぜなら、自分は宇陀出身ではないからです。

大阪に住みながら宇陀へ通い、これから「宇陀蒸留所」という名前を掲げようとしています。

宇陀スパイスジンもそうです。

宇陀という名前を背負う以上、その土地を知り、その土地の人と関わり、その土地にあるものを理解することが、何より先に必要だと思っています。

植物。

ボタニカル。

森。

水。

風景。

歴史。

文化。

そして人。

ジンは、それらを蒸留して一本の液体にするものです。

だから本来、その土地に入り込まずに作れるものではないと思っています。

今回、室生アートハウスを継承しようとしているのも同じです。

ただ建物を借りるのではなく、その場所が持っていた記憶や役割も含めて引き継ぎたいと思っています。

だから宇陀ジンギャラリーも、室生アートカフェラリーも、自分にとっては単なるイベントではありません。

これから宇陀で蒸留所を作ろうとしている人間としての自己紹介です。

遠回りに見えるかもしれません。

効率も悪いかもしれません。

でも、自分はこの順番を大切にしたいと思っています。

多くの場合、地域を名前に使いながら、その土地との関係づくりは後回しになります。

けれど自分は逆でありたい。

まず土地と関わる。

人と関わる。

地域の空気を知る。

その上で蒸留所を作る。

その積み重ねが、これから自分が作るジンの土台になっていくと信じています。

だから今回の取り組みは、蒸留所を作る前に寄り道をしているのではありません。

自分にとっては、蒸留所へ向かうための入口そのものなのです。



まだ始まっていません。

宇陀ジンギャラリーも準備中です。

室生アートカフェラリーも始まっていません。

宇陀蒸留所もまだありません。

それでも少しずつ形になっています。

宇陀蒸留所を作ろうとしていたら、室生アートハウスを継承することになりました。

室生アートハウスを継承しようとしていたら、宇陀ジンギャラリーが生まれました。

宇陀ジンギャラリーを準備していたら、室生アートカフェラリーが生まれました。

そしてその中から、

「香りで巡る、室生。」

という言葉が生まれました。

これは完成した企画ではありません。

今まさに作っている途中です。

2026年6月18日。

まずはこの小さな回遊から始めてみたいと思います。

「香りで巡る、室生。」|室生アートカフェラリー × 宇陀ジンギャラリーhttps://andground.jp/pages/murou

「香りで巡る、室生。」プレスリリースを公開しました
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000168083.html

香りから、人と土地を巡らせる。
https://andground.jp/blogs/%E4%BC%9D%E3%81%88%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%A8/%E9%A6%99%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%82%89-%E4%BA%BA%E3%81%A8%E5%9C%9F%E5%9C%B0%E3%82%92%E5%B7%A1%E3%82%89%E3%81%9B%E3%82%8B

May 21, 2026コメント0件KobayashiMichiaki